トンネル内に存在する目立たぬ功労者
我が国の経済成長に比例して、急激に生活に浸透していった、自動車。
道路ネットワークの整備に伴い数多くのトンネルが建設されたわが国。現在では9,000本を超える世界有数のトンネル保有国にまで発展しました。
日本の道路トンネルで初めて換気設備が設置されたのは、1958年の関門トンネル。
以来、トンネル換気設備は、走行安全性、維持管理作業環境の確保や火災時の熱気流(煙)をコントロールする役割を果たして来ました。

排ガスによる公害や環境に対する影響は、やがて我が国の話題を席巻する社会問題となっていき、トンネル内に排ガスが充満しないよう設備拡充されてきました。関越トンネルにインバータ式ジェットファンが搭載されて以降は、全盛期で約1,100本ものトンネルに換気設備が整備され、トンネル風速計も設置されました。

真っ黒になったって、ボクは全然気にしない!
自動車から排出されるガスにさらされ続けると、あっという間に黒く煤けます。自動車の性能が飛躍的に向上し、排出されるガス自体が少量に、さらにきれいになっているため、最近ではあまり見られなくなりましたが、一昔前は1年も経過するとトンネルの壁と見分けがつかなくなるくらいに真っ黒に同化するくらい汚れました。
超音波式のすごいところは、これら汚れなど全く関係なく測定し続けることができるところです。超音波を発出する素子がどんなに汚れても、性能に全く関係がないのです。これは可動部が無いセンサの強みと言えます。

その用途が変わっても、安全を見守り続ける。
トンネルの換気設備の動作監視から始まった「トンネル風向風速計」ですが、今では排ガスの“質が向上”したため、その用途は大きく変わりつつあり、しっかりと風が流れているかを監視する設備になりつつあります。
予想だにしないトンネル火災などの不測の事態が発生した際の、利用者の安全を確保するための設備として、より一層の信頼性の向上を当社はかねてから模索し研究をし続けています。

トンネル風速計の仕様
トンネル内風速測定専用に開発した風速計です。
可動部のない超音波風速計の特長を生かし苛酷なトンネル内の環境でも長時間、高精度でトンネル軸方向の風速成分を測定し、トンネル内換気や、火災等異常事態に対応した制御を行うための適切なデータを出力します。
・「ゼロ」m/sから風速が測定出来ます。
・可動部がなく耐環境性に優れています。
・トンネル軸方向成分の風を測定します。
・高信頼設計の風速計です。
・メンテナンス性に優れています。
・ランニングコストに優れています。
測定方式 :時分割送受切換型超音波パルス伝播による2成分風速の座標変換方式
測定方向 :トンネル壁面に対して平行方向の水平成分
測定範囲 :0 ~ ±10m/s または 0 ~ ±15m/s
(設定用キースイッチにて切り替え可能)
測定精度 :±4%(風速5m/s以下は±0.2m/s)
分解能 :±0.1%
サンプリング時間 :0.05秒
応答時間 :10秒移動平均(設定用キースイッチにて変更可能)
耐風速 :90m/s
出力 :(1) 風速:DC12 ± 8mA
(2) 平均化時間:10秒(変更可能)
(3) 風向判別:風速値の極性(+または-)
(4) 警報出力(故障時)
電源断による無電圧メーク接点 DC50V 480mA以下
(5) メンテナンス出力(点検中)
メンテスイッチによる無電圧メーク接点 DC50V 480mA以下
(6) 受波異常出力
受波異常時に出力 無電圧メーク接点 DC50V 480mA以下
(7) デジタル出力:RS-232C または RS-422出力
(8) TEL:JJ-033A相当のジャック装備
校正信号 :0および±フルスケールの電気的校正信号を出力
(設定用キースイッチにて設定)
雷災保安機能 :(1) AC100Vライン
インパルス放電開始電圧 10/200μs 3kVにて1200V以下
インパルス電流耐量 8/20μsにて4500A
(2) 出力ライン(DC12 ± 8mAラインのみ 保安素子の特性)
放電開始電圧 75V±20%
ツェナー電圧 24V
インパルス電流耐量 8/20μsにて10000A
環境条件 :(1) 温度 変換器 :-20~40℃
プローブ:-20~50℃
(2) 湿度 相対湿度90%以下(結露なきこと)
電源 :AC100V 50/60Hz 30VA以下
リンク
参考文献
「日本の道路トンネルの換気方式の変遷と今後の課題」金沢大学大学院自然科学研究科システム創成科学専攻 山田眞久