TECHNICAL GUIDE

技術ガイド

当社の計測機器の「測定原理」を、図解とともにわかりやすく解説します。
購買ご担当者から技術者の方まで、原理をご理解いただくことで、用途に最適な機種選定にお役立ていただけます。

気象機器の測定原理

大気中を伝わる超音波の伝播時間から、風速の各成分・気温・雪面までの距離を求めます。
可動部を持たないため摩耗がなく、微風から強風まで、また無人地点でも連続して観測できます。

三次元超音波風向風速温度計

一対の送受波器の間を伝わる超音波の到達時間が、風の向きと速さによって変化することを利用します。互いに逆向きの到達時間の差から風速を求め、立体的に交差する3軸の組み合わせから風向・風速の3成分を同時に取得します。音速の影響を受けずに計測できるため、乱流解析にも利用できます。

成分風速演算

超音波の送受波器(ヘッド)を図のように距離 L をおいて対向させ、互いに逆向きに超音波パルスを伝播させた場合、風速 V の超音波伝播方向成分 VA と同一方向の伝播時間 t1 と逆方向の伝播時間 t2 との関係は (1)、(2) 式となります。この二つの式より VA を求めると (3) 式となり、音速 C の影響(C は温度、湿度により変化する)を受けずに VA を測定することができます。
成分風速演算

風向風速演算

SAT シリーズは、立体的に交差する A、B、C 3 軸の成分風速 VA、VB、VC より座標変換にて直交座標成分風速(VX、VY、VZ)を求め、さらにベクトル合成演算 (4)、(5) 式にて水平風速(U)、水平風向(θ)を求めます。
風向風速演算

温度演算

超音波による気温(音仮温度 Tsv)の測定は、空気中の音速が温度によって変化することを利用して、(6) 式にて求めます。
温度演算

超音波積雪深計

センサーから雪面へ向けて超音波を発射し、反射して戻るまでの時間を測ることで、センサーから雪面までの距離を求めます。あらかじめ測っておいた基準面(地面)までの距離との差分が積雪深です。無人地点でも連続的に観測でき、防災・道路管理に活用されます。

空中超音波パルス反射方式

観測ポールに取り付けられたセンサーから発信された超音波が、雪面で反射し、再びセンサーに戻ってくるまでに要した超音波の伝搬時間 T を計測することにより積雪深 L1 を次式で求めます。

$$L = \frac{CT}{2}$$

(1)

$$\begin{aligned} L_1 &= L_0 - L \\ &= L_0 - \frac{CT}{2} \end{aligned}$$

(2)

$$\begin{aligned} &L : \text{センサーから雪面までの距離( m )} \\ &C : \text{音速( m/s )} \\ &T : \text{超音波パルスの伝搬時間( sec )} \\ &L_1 : \text{積雪深} \\ &L_0 : \text{センサーから基準面までの距離} \end{aligned}$$

但し、音速 C は伝達経路の温度(気温)によって変化することから、内蔵された温度計または外部の温度計による音速補正をしています。
空中超音波パルス反射方式

海象機器の測定原理

センサーと海面との間で超音波を往復させ、その伝播時間から水位の変動を連続的に捉えます。
あわせて超音波のドップラー効果を用いることで、海面下の各層の流れの向きと速さを遠隔から測定できます。

超音波波高計

水中や水面上に設置したセンサーと水面との間で超音波を往復させ、その伝播時間から水面までの距離を求めます。距離の時間変化を捉えることで波の高さ(波高)を、一定時間の平均から潮位を算出します。得られた波形データからは、有義波高や周期といった海象の代表値も求められます。

海面までの距離の算出

海底(空中型は海岸部)に設置したセンサー(超音波送受波器)は、超音波パルスを鉛直上方(空中型は下方)に発射し、空気との境界層を形成する海面からの反射波を受信します。そしてこのセンサーと海面間における超音波パルスの伝播時間を測定することにより海面までの距離を次式により求めます。

$$l = \frac{1}{2} \cdot ct$$

$$\begin{aligned} &l : \text{センサーから海面までの距離} \\ &c : \text{音波の伝播速度} \\ &t : \text{超音波パルスの往復伝播時間} \\ \end{aligned}$$

水位変動から代表波の算定へ

超音波波高計は、海面で反射した超音波パルスの伝播時間を短い時間間隔で計測し、これを刻々と海面までの距離に変換することによって連続的に水位の変動を求めます。演算部では、こうして求めた水位の変動記録を用いて、代表波算定(有義波周期・波長値)、観測波の波高・周期といった各種統計値を、所定時間間隔で収録・出力します。
海底設置型

海底設置型

空中型

空中型

海象計

海底設置型超音波波高計の機能と、多層ドップラー流速計の機能を1台に併せ持った複合型の海象観測機器です。水位変動と3方向の水粒子速度から、波高・周期・流向・流速・方向スペクトルまでを同時に求めます。

センサーの構成

海象計は、従来の海底設置型超音波波高計の機能と多層ドップラー流速計の機能を併せ持った複合型の海象観測機器であり、センサー上部に水位変動測定用振動子(200kHz)およびその周りに鉛直軸から 30 度傾いた 3 方向の水粒子速度測定用振動子(500kHz)の計 4 つの超音波振動子が配置されています。両者の周波数が異なる理由は、測定ターゲットが前者は海面であるのに対し、後者は海中の微粒子や音波の屈折変動層であるため、各々に適した周波数が選定されていることによります。

水位変動の測定

水位変動の測定は、従来の海底設置型超音波波高計と同様に、センサーと海面間の超音波パルス伝播時間から、これに対応する水位変動を求めています。

流速(水粒子速度)の測定

流速の測定は、センサー上方に位置する海面下任意の測定層内における水粒子速度を、超音波のドップラー効果を利用して遠隔測定します。センサーから発射された超音波パルスが水中に存在する散乱層(測定層)で反射した後方散乱波のドップラー周波数偏移を、複素共分散法によって周波数解析し、その結果を水粒子速度に変換します。すなわち、超音波パルスが測定層内の散乱体に反射すると、その散乱体の運動速度に対応したドップラー効果により、超音波パルスの周波数が偏移します(1cm/sec あたり約 7Hz)。そこで受信パルスの周波数が送信パルスの周波数からどれだけ変化したかを計測することにより、散乱体すなわち海水の運動速度が計算されます。

統計計算と出力

海象計では、このようにして求められた水位変動および 3 方向の水粒子速度を用いて、観測波浪の波高・周期・流向・流速・方向スペクトルならびに代表波向といった統計計算を実行し、それらの結果を所定時間間隔で収録・出力します。
海象計の測定原理

水産機器の測定原理

水中へ発射した超音波が魚群や海底で反射して戻るまでの時間から距離を、反射の強さから対象の大きさや密度を推定します。
単体魚の反射強度(TS)と魚群の後方体積散乱強度(SV)を使い分けることで、魚体長の推定から分布密度の把握までを行います。

水中音響の原理

送受波器から発射された超音波は、指向特性をもつビームとなって水中に広がります。ビーム内の単体魚で反射した場合と、測定層内の魚群で反射した場合とで受信電圧の成り立ちが異なり、それぞれターゲットストレングス(TS)と後方体積散乱強度(SV)として扱います。

固体角の送信、反射、受信

$$E_n^2 = P_0^2 \cdot M^2 \cdot G_t \cdot \frac{1}{r^2} \cdot \exp(-4\beta r) \cdot D(\theta, \phi)^2 \cdot T_s$$

$$\begin{aligned} &E_n : \text{受信電圧振幅} \\ &P_0 : \text{送波音圧の振幅} \\ &M : \text{受波感度} \\ &G_t : \text{プリアンプ利得} \\ &D : \text{送受波器の指向特性関数} \\ &r : \text{送音元の距離} \\ &T_s : \text{魚のターゲットストレングス} \\ &\beta : \text{吸収減衰係数(neper/m)} \end{aligned}$$

固体角の送信、反射、受信

円錐角の送信、反射、受信

$$E_n^2 = P_0^2 \cdot M^2 \cdot G_t \cdot \frac{1}{r^2} \cdot \exp(-4\beta r) + \frac{cT}{2} \cdot r \cdot Sv$$

$$\begin{aligned} &E_n : \text{受信電圧振幅} \\ &P_0 : \text{送波音圧の振幅} \\ &M : \text{受波感度} \\ &G_t : \text{プリアンプ利得} \\ &\psi : \text{等価指向角} \\ &r : \text{距離(約1500m/sec)} \\ &c : \text{音速(約1500m/sec)} \\ &t : \text{等価パルス幅} \\ &n : \text{密度(尾/m}^3\text{)} \end{aligned}$$

円錐角の送信、反射、受信

単体魚の送信、反射、受信

TS(ターゲットストレングス)は、単体魚への入射波と反射波の強さの比です。

$$\text{TS} = \text{TS}_{\text{cm}} + 20 \log L \quad [\text{dB}]$$

$$\begin{aligned} &\text{TS}_{\text{cm}} : \text{基準化TS}[\text{dB}] \\ &L : \text{魚体長}[\text{cm}] \\ &\text{SV} : \text{後方体積散乱強度} \\ &\quad\ \ \text{魚群の単位体積あたりの散乱強度} \end{aligned}$$

TS より魚体長などの単体情報が、SV より分布密度などの魚群情報が求まります。
単体魚の送信、反射、受信

周波数の使い分け

超音波は、低い周波数ほど遠くまで届き、高い周波数ほど近距離を細かく捉えられます。探索したい範囲や対象に応じて周波数を選ぶことで、広域の魚群探索から魚体長の推定まで、目的に合わせた計測が可能になります。全周を走査するスキャニングソナーでは、船の周囲360°の魚群を面的に把握でき、投網判断を支援します。

工業機器の測定原理

流れに沿う方向と逆らう方向とでは、超音波が配管内を伝わる時間に差が生じます。この時間差から流速を求め、配管の断面積を掛けて流量を算出します(伝播時間差法)。配管の外側からセンサーを取り付けるクランプオン式なら、配管を切ったりプロセスを止めたりせずに計測できます。また、音響インピーダンスの違いを利用すれば、液体どうしの境界面(界面)の位置も非接触で捉えられます。

超音波液体流量計

円管の外周に、管軸に対して角度 θ をなすよう2つのセンサーを斜めに対向配置します。順方向と逆方向の超音波伝搬時間の差 Δt から流速を求め、レイノルズ数に応じた流速補正を施して断面平均流速、さらに流量へと換算します。

流速の測定原理

$$t_1 = \frac{L}{C + V\sin\theta} + \tau$$

$$t_2 = \frac{L}{C - V\sin\theta} + \tau$$

$$V = \frac{C^2}{2L\sin\theta} \cdot \Delta t$$

$$\begin{aligned} V &= \text{流速} \\ T_1, T_2 &= \text{センサー(検出器)} \\ L &= \text{検出器間距離} \\ \theta &= \text{音波の入射角} \\ C &= \text{流体音速} \\ \tau &= \text{管壁等による遅れ時間} \end{aligned}$$

流速〜流量の換算

$$\overline{V} = V \times (1 / k)$$

$$k = 1 + 0.01 \sqrt{6.25 + 431 \text{Re}^{-0.237}}$$

$$Q = 3600 \times \overline{V} \times S \quad (\text{m}^3/\text{h})$$

$$\begin{aligned} \text{但し、}\overline{V} &= \text{断面平均流速( m/s )} \\ V &= \text{液体流量計で測定された線平均流速( m/s )} \\ \text{Re} &= \text{レイノルズ数} \\ k &= \text{流速補正係数} \\ S &= \text{断面積} \end{aligned}$$

超音波液体流量計の測定原理

超音波気体流量計

フランジ付きの測定管に、管軸に対して角度 θ をなすよう2つの検出器を斜めに対向配置します。液体と同じく伝搬時間差から流速を求めたうえで、気体は温度・圧力によって体積が変わるため、基準状態に換算するノルマル流量補正を行います。

流速の測定原理

$$t_1 = \frac{L}{C + V\cos\theta}$$

$$t_2 = \frac{L}{C - V\cos\theta}$$

$$V = \frac{L}{2\cos\theta} \left( \frac{1}{t_1} - \frac{1}{t_2} \right)$$

$$\begin{aligned} \text{但し、}V &= \text{流速(m/s)} \\ \theta &= \text{超音波伝搬軸と管の中心軸がなす角度} \\ L &= \text{検出器間の距離(m)} \\ C &= \text{静止気体中の超音波の伝搬速度(m/s)} \end{aligned}$$

流量の換算

$$\overline{V} = V \times (1 / k)$$

$$k = 1 + 0.01 \sqrt{6.25 + 431 \times \text{Re}^{-0.237}}$$

$$Q = 3600 \times \overline{V} \times S \quad (\text{m}^3/\text{h})$$

$$\begin{aligned} \text{但し、}\overline{V} &= \text{断面平均流速(m/s)} \\ V &= \text{気体流量計で測定された線平均流速(m/s)} \\ \text{Re} &= \text{レイノルズ数} \\ k &= \text{流速補正係数} \end{aligned}$$

ノルマル流量補正

$$Q_N = 3600 \times \overline{V} \times S \times \frac{T_0 \times P}{T \times P_0}$$

$$\begin{aligned} \text{但し、}Q_N &= \text{流量(m}^3\text{/h ntp)}^{※} \\ S &= \text{管の断面積(m}^2\text{)} \\ T_0 &= \text{標準状態の流体温度(K)} \\ T &= \text{使用状態の気体温度(K)} \\ P_0 &= \text{標準状態の流体圧力(Pa・abs)} \\ P &= \text{使用状態の流体圧力(Pa・abs)} \end{aligned}$$ $$\text{※ ntp:基準状態(0℃、1気圧)}$$

超音波気体流量計の測定原理

超音波微少液体流量計

細い管路上に2つのセンサーを距離 L を隔てて配置し、往復の伝搬時間差 Δt から平均流速を求めます。ごく少ない流量を、流れを妨げずに計測できます。

流速の測定原理

$$t_1 = \frac{L}{C + V}$$

$$t_2 = \frac{L}{C - V}$$

$$\overline{V} = \frac{L}{2} \cdot \frac{\Delta t}{t_1 \cdot t_2}$$

$$\begin{aligned} V &= \text{流速(m/s)} \\ T_1、T_2 &= \text{センサー(検出器)} \\ L &= \text{検出器間距離(m)} \\ C &= \text{流体音速(m/s)} \\ t_1、t_2 &= \text{伝搬時間(s)} \end{aligned}$$

流速〜流量の換算

$$Q = 60 \times \overline{V} \times S \quad (\text{L} / \text{min})$$

$$\begin{aligned} \overline{V} &: \text{平均流速} \\ S &: \text{断面積} \end{aligned}$$

超音波微少液体流量計の測定原理

超音波界面レベル計

超音波は、密度の異なるところで反射します。厳密には「密度 ρ」と「音速 c」を乗算した値、「固有音響インピーダンス ρ・c」の異なる点で反射します。この性質を利用し、処理槽内の汚泥界面の位置を非接触で連続的に把握します。

演算式

処理槽内に於いてセンサーより送信された超音波は、水中音速 c でほぼ一定に進み、密度の異なる汚泥界面にて反射します。この反射した超音波を今度はセンサーで受信することによって、[送信〜反射〜受信]までの時間が計測できます。この伝搬時間 T は、センサーと汚泥界面の往復時間となります。さらに、水中での音速 c を一定とすれば、次式より汚泥界面までの距離 L が演算できます。

$$T \times c = 2 \times L$$

$$L = c \times \frac{T}{2}$$

$$\begin{aligned} c &: \text{音速(m/sec)} \\ L &: \text{センサーから汚泥界面までの距離(m)} \\ T &: \text{超音波の伝搬時間(sec)} \end{aligned}$$

音響インピーダンスの境界での反射

音響インピーダンスの境界での反射

処理槽での界面レベル計測

処理槽での界面レベル計測

適用条件・注意点

超音波流量計は、流体の種類や配管の材質・口径、内面の状態、直管長などの設置条件によって適用可否や精度が変わります。導入をご検討の際は、設置環境をお知らせください。最適な計測方式・機種をご提案します。

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